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最高裁判所第二小法廷 昭和54年(オ)498号 判決

上告人

山田花子

右法定代理人親権者

山田実子

右訴訟代理人

柳原武男

被上告人

山田月子

被上告人

山田一郎

右両名訴訟代理人

相馬健司

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人柳原武男の上告理由第一点について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

同第二点について

認知の届出が事実に反するため無効である場合には、認知者が被認知者を自己の養子とすることを意図し、その後、被認知者の法定代理人と婚姻した事実があるとしても、右認知届をもつて養子縁組届とみなし、有効に養子縁組が成立したものと解することはできない(最高裁昭和四三年(オ)第五二〇号同四九年一二月二三日第二小法廷判決・民集二八巻一〇号二〇九八頁、最高裁昭和四九年(オ)第八六一号同五〇年四月八日第三小法廷判決・民集二九巻四号四〇一頁参照)。けだし、養子縁組は、養親となる者と養子となる者又はその法定代理人との間の合意によつて成立するものであつて、認知が認知者の単独行為としてされるのはその要件、方式を異にし、また、認知者と被認知者の法定代理人との間の婚姻が認知者と被認知者の養子縁組に関する何らかの意思表示を含むものということはできないからである。したがつて、これと同旨の原判決は正当であり、論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(塚本重頼 大塚喜一郎 栗本一夫 鹽野宜慶)

上告代理人柳原武男の上告理由〈省略〉

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